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メッセージ
escher × 杉原厚吉
《空と水Ⅰ》や《昼と夜》に代表される図と地が入れ替わる不思議なタイリングアートや、《上昇と下降》や《滝》に代表されるだまし絵を素材にしたおしゃれで哲学的な版画などには、子供のころから惹かれていました。コンピュータビジョンの研究の中でだまし絵が立体として作れることを見つけてからは、エッシャーの作品の裏に潜む数学構造に興味が広がり、《空と水》風の図地反転錯視アートを自動生成するプログラムを作ったり、《滝》に描かれている水が水路を上る動きを錯視で作ったりと、錯視アートの創作にたくさんのヒントをもらっています。

エッシャーの魅力の一つは、細部までていねいに描写したリアルな表現によって、不可能立体と呼ばれるあり得ない世界があたかも目の前にあるかのような錯覚を起こさせてくれることでしょう。描写のリアルさにだまされて、構造の不可能性を見落としてしまうこともあります。どこにどんな不可能性が潜んでいるかを一つも見逃さないように見つけ出そうとするあまり、一つの作品の前にずいぶん長い時間立ちっぱなしになっている自分に驚くこともあります。後期の作品がもつ哲学的な不条理世界の魅力は、何度見ても飽きることはありません。この体験がまた味わえることは、大変楽しみです。
杉原厚吉
Profile:杉原厚吉(すぎはら・こうきち)/ 明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授
1973年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、電子技術総合研究所、名古屋大学、東京大学などを経て、2009年4月より現職。専門は数理工学。ロボットの目を開発する研究の中で、不可能図形のだまし絵を立体化する手法を見つけ、立体錯視の分野へも研究を広げてきた。さまざまな不可能立体を創作し、立体錯視アーティストとしても活躍している。国際ベスト錯覚コンテスト優勝2回(2010年、2013年)、準優勝2回(2015年、2016年)。著書には、「だまし絵のトリック」(化学同人)、「エッシャー・マジック」(東京大学出版会)、「立体イリュージョンの数理」(共立出版)、「大学教授という仕事」(水曜社)、「理科系のための英文作法」(中公新書)、「スウガクってなんの役に立ちますか?」(誠文堂新光社)などがある。
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《メタモルフォーゼⅡ》1939-1940年

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